TOMOYA SAKAI

時をかける -Heritage-

2024.2.3 - 2.18 ギャラリー数寄

時をかける
– Heritage –

作品を作り続ける根源は、「死」にある。今まで経験してきた、身内の死、友人の死、TV越しの死、ネット越しの死、様々な死の形が私のなかで恐怖としても存在している。恐怖と向き合い、生を感じるには作るしかないのである。
陶は1万年先にも残る。人間の死(時)を超越した素材を使い、人の本質でもある記憶を形に変え、生の痕跡を世界に提示し、遥か先へ残していく。その行為が、私や誰かにとっての救いになると信じて。

なぜだろうか。日頃から、「死にたくない」と考えることが多い。今まで経験してきた、身内の死、友人の死、TV越しの死、ネット越しの死、様々な死の形がそのようにさせるのだろう。死の恐怖と向き合い、生を感じ続けるには作るしかないのである。
陶は1万年先にも残る。人間の時を超越した素材を使い、人の本質でもある記憶を形に変え、生の痕跡を世界に提示し、遥か先へ残していく。その行為が、私や誰かにとっての救いになると信じて。

本展示によせて

現在、妻の実家を二世帯にリフォームしている。工事ももうすぐ完了し引っ越し間近である。本当であれば、新しくなった家で義両親と住む予定だったが、昨年の夏に義父が亡くなった。癌であった。完治を目指しながらも、死に向かってしまった義父に対してできたことはいつも通り接することだけである。義父に対し、作家である私にしかできない何かがあるかと考えたときもあるが、何もできることはなかった。引っ越しの片付けも思い出を噛みしめるものになった。
義父の家族も私も、これからを全力で生きていかなければいけない。今、私にできることは家族から義父との思い出を聞き取り、その生きた証を形に変えて、末永くこの世に残していくことだけである。-Heritage seriessa-
そして、引っ越しで廃棄されることが決まってしまった家具を什器に使い、作品と日常を交差させる。これらの作品が、日常に埋もれてしまった大切な記憶を再び呼び覚ます手がかりになればと思う。

 

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